ご挨拶

 Object(対象)とは精神分析の概念です。フロイトは性的な衝動が向けられるものをオブジェクトと呼びましたが、クラインはこれを乳幼児が本能のみならず愛情、依存、憎しみなどさまざまな感情を向ける対象という意味に拡大しました。

 集団療法をやったり、孤立して苦労しているクライエント/臨床家をみると、何かを共有すること、オープンシステムであることの重要を改めて感じます。精神分析や精神療法の世界は基本的に密教的で、オープンであることを恥とする文化ではないかと思います。ひとつくらいこんな試みがあってもいいでしょう。

 このページのもとになったのは個人的な勉強会などで作ったレジメでした。ただ自分の本棚に眠らせているのは惜しいと思い、インターネットで公開することにしました。今では自分の知識を整理する役に立っています。個人でやっている制限上、不十分な点もありますが、精神分析的な視点を学びたいと思っている臨床家の方に役に立てばと思います。また、非専門家の方には精神療法という広い海の一部でも覗いていただけたらと思います。