カウンセリング/心理療法の4つの源流と比較/W・ドライデン&J・ミットン

 精神力動的アプローチ、パーソンセンタードアプローチ、合理情動行動的アプローチ、多面的アプローチの4つのサイコセラピーの流れをまとめています。
 アルバート・エリスのエピソードがおかしいですね。女性恐怖症を克服するために手当たり次第100人の女性に声をかけたというエピソードは聞いたことありましたが、最初の奥さんとは結婚当日に離婚を決意というのは初耳。さすが合理情動行動セラピスト。当初は性と結婚が専門で「罪悪感のないセックス」「知的女性のための男狩りガイド」なんて本を書いてます。
 翻訳は事例の部分の会話が「ルンルンで幸せな気分」とかくだけた感じなのに地の文は硬い表現が多いという印象です。専門用語や外国語の固有名詞の日本語化はいちいちあげるのが面倒なくらい適当です。どうして同じ Gustav がマーラーでは「グスタフ」で、ユングでは「ギュスタヴ」なのでしょうか。おそらく複数の人に下訳をさせたために統一がとれない、ということになったのではと推測してしまいました。
 キーワードはカタカナ表記と日本語表記のアンバランスが目立ちます。「スーパーエゴ」がカタカナ表記なら「療法者」じゃなくて「セラピスト」でよいのでは。「エゴ」はともかく「エゴ心理学」、「エゴ障害」、「セルフ理論」(自己心理学のこと)という表記は異様な感じです。フロイトの論文のタイトルもすでに訳されているものを使わないため『抑止と症状と不安』と何だか落ち着きません。

p.37 チューコリアルという言い間違えが多分 choir =雑益、のダブル・ミーニングなのではないかと推測しますが、この訳では何のことだか意味不明。訳すなら「チュー苦労リアル」かな・・・苦しいけど・・・・

p.131 「musturbator = ねばならない主義者」 もちろん masterbator にかけているわけだから「マストかき」とでも訳しますかね。

カウンセリング/心理療法の4つの源流と比較
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