ウィニコットの怒り

 英国精神分析協会はアナ・フロイト派とクライン派の対立によって分裂の危機に陥ったが、アナ・フロイト派のグループ、クライン派のグループ、そして独立学派のグループの三グループを形成することで何とか分裂は回避された。しかし協会としての機能は弱まった。以下は1954年のウィニコットによる怒りの告発。


 協会にとって絶対に欠くことのできない重要なことは、あなた方のどちらもが公的な場で、あなた方のグループを消滅させることだとわたしは考える。グループを消滅させるのは、あなた方にしかできないことであり、あなた方が生きているかぎり、できることはそれ以上にありえない。あなた方が死ぬようなことがあれば、公式の規約の承認を得た集団は完全に触れることのできないものになり、協会がこの災厄から回復して沈黙でなく人格に立脚する堅固な構造となるまでには、一世代か、それ以上の世代が必要となるだろう。 p.214-215 「ジャック・ラカン伝」
 夕食後のレヴィ・ストロース家を尋ねたラカンが、食べ残した蟹を食べ始めたのでストロース夫妻はぎょっとする。

 ラカンに「エクリ」を送られたハイデッガーの感想。「この精神科医精神科医を必要としています」

ジャック・ラカン伝
ジャック・ラカン伝エリザベト ルディネスコ Elisabeth Roudinesco 藤野 邦夫

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