パーソンセンタード・カウンセリング/Dave Mearns & Brian Thorne


内容(「BOOK」データベースより)
本書では、パーソン・センタード・アプローチの理論的原理をカウンセリングの実際と関係づけることによって巧みに説明している。機能的哲学としてのアプローチの重要さにも注意を向け、このアプローチによるカウンセリングの哲学と精神と、パーソン・センタード・アプローチの本質的部分である体験学習について伝えている。

内容(「MARC」データベースより
パーソン・センタード・カウンセリングの生きた経験のなかに読者を招き、パーソン・センタード・カウンセラーの態度、技法、ジレンマ、瞬間瞬間の挑戦や、特定の治療関係の経験などを具体的に説明する。
目次
1 パーソン・センタード・アプローチ
2 カウンセラーの自己の利用
3 共感
4 無条件の肯定的関心
5 一致性
6 初期
7 中期
8 終結

 原題は"Person-centered Counselling in Action" 邦訳のタイトルでは著者名が日本語表記されていないため(本文中では「ミァーンズ」)、アマゾンでは著者表記が「ミャーンズ」と何だかかわいい。固有名詞英語発音辞典では「マーンズ」だけど、他の書籍では「メァーンズ」となっている。本当はどうなんだろう?
 伊藤先生が後書きに書いているとおり「原文を尊重しながら訳したが、そのために日本語としてはかならずしも流暢とはいえない」ところがあり、自分はそれでもうアウト。
 それから、もう少しカタカナ語を使っても良いのかなとも思いました。女権主張者(多分フェミニスト)、応援者(多分サポーター)とか・・・
 後、内容で気になったのは

 だが、身体接触がカウンセリングで生じるとき、それは通常、完全に自然なものであり、関与している両者のコミュニケーションの流れとまったく不連続でないものとして体験される。
 というところ。この後、身体接触の問題点は指摘してはいるけれど、セラピストークライアントの性的逸脱の問題の多さを考えれば、こうまで理想化して良いのかと思いました。ちょうど、精神分析家のニナ・コルタートが身体接触を厳しくいさめているのを読んだところだったから、特に印象に残りました。
 いちばんの読みどころは、父親との近親姦、夫とのサド・マゾヒスティックな関係が問題となった女性とのカウンセリングの記録でしょうか。事例が終結してから、クライアントはカウンセラーを電話で呼び出し、母親の墓に一緒に行ってそこでクライアントが墓を蹴飛ばすということがあったと記載されています。やはり終結が早すぎたのではという印象を受けます。それから身体接触と同様に、面接室外の関係をどう捉えるか。著者がそれを「自然なもの」と受け止めているのは明らかですが、やはりそういう意識と性的なミスコンダクトには近いものがあると感じてしまいます。

  • p.155 カウンセラーのノートから こういう場合の note はたいてい「(事例の)記録」の意味。

パーソン・センタード・カウンセリング
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