学生時代に丸山圭三郎ゼミに出ていて手書きのソシュールのアナグラム草稿のコピーが資料として配られていた。本が手元に届くまで気づかなかったが、"Les mots sous les mots" という原題を見て、これが丸山先生が講義の時にふれていた書籍だと気づいた。出版からおよそ35年を経て、ようやく邦訳されたのだった。中身のサトルゥヌス詩集のアナグラムに関してはちんぷんかんぷんだけれど、ソシュールが最後にアナグラムにいきつくのはおもしろい。ラテン語だとわかりにくいのでボードレールの詩を例にすると、
「私はヒステリーの恐ろしい手によって喉が締めつけられるのを感じた」という文章の最後の単語"l'hysterie" の音が、その前の文章にバラバラに埋め込まれているというもの。
Je sentis ma gorge serree par la main terrible de l'hysterie.
自分も講義でアニメ解釈を行って、学生たちに作者はそこまで考えてないだろうとさんざん言われているけど、ソシュールもきっとそういわれたに違いない。いっしょにしちゃあかわいそうだが。
ソシュールのアナグラム―語の下に潜む語 | |
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