【購入数】★★★★
雑誌「こころの科学」の神田橋條治先生の書評で知りましたが、僕も前任が福井だったので宇治少年院のユニークな取り組みの噂は聞いていました。軽度発達障害を視野に入れた少年院における矯正教育の実践のルポルタージュです。「あしたのジョー」の影響か、少年院というとなにやら身体能力に優れた敏捷な少年達をつい思い浮かべてしまうのですが、現実は右も左もわからない、回れ右もできない子どもが多く、軽度発達障害に似た症状をもつものが20%、その傾向があるものを含めると70%にも渡るそうです。
タイトルか、サブタイトルに「軽度発達障害」というキーワードをいれていたら、少なくとも心理畑の人にはずっと売れていたことと思います。宇治少年院のプロジェクトX的変貌がドラマチックに描かれていて、お薦めです。
追記(2009.8.12) 元宇治少年院の職員でこの本にも取り上げられている向井義氏は2009.8.11に特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕されました。非常に残念なことです。事件の真相究明を願っています。
追記(2019.12.17) 最高裁まで争われた裁判は2013年に上告が最高裁で棄却され、懲役10年執行猶予3年の有罪判決が確定しました。
asahi.com(朝日新聞社):少年への特別暴行陵虐容疑 広島少年院元首席専門官逮捕 - 社会