KYなんて言葉は嫌いだけれど、文脈はセラピーにおいていつも大切。文脈のわからない自分にとって未知の領域の話をきくときは、いつも慎重さが要求される。翻訳においても同じこと、自分の知らない領域にこそ翻訳家の力量が発揮される。本の表紙にPh.D. と書いてあるようにこの本の著者はクリニカル・サイコロジストで精神科医ではない。タイトルにまでしてしまうともうとりかえしがつかない。
翻訳の質も推して知るべし。解決指向短期療法、精神分析、などの概念や症例を通じて、投資心理のこつを学ぶというのが趣旨の本。「解決指向」という心理学キーワードを訳しそこねているのに始まり、神秘主義などを結構引用しているのだが、「哲学者」グルジェフ、「オウスペンスキー(ウスペンスキーのこと)」、「ジョージ・ルイ・ボージ(ボルヘスのこと)」などの楽しい表現も散見する。「ロルシャッハ」「エキソシスト」、「バンジェリス」、「デビッド・ボーイ」とかもちろんみんな知らないんでしょうね、訳者の方は・・・。
精神科医が見た投資心理学 | |
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