asahi.com(朝日新聞社):オウム脱会者にカウンセリング 牧師の平岡正幸さん死去 - おくやみ
実はぼくと山内さんともちょっとカルトつながりがありまして、ぼくが翻訳したいと金剛出版時代の山内さんのところに最初に持って行ったのが、愛しのニナ・コルタートのこれ
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それでカルト本。絶賛増刷中で、アマゾンでは早くもユーズドで6000円以上の値がついてますけど、今増刷中ですからちょっとだけ待ちましょう。ロテ職人さんもすでに書評を書かれていて、学生相談関係の人に勧めてますが、ぼくは直接カルトに関わらないような臨床家も読んでおいたらいいと思います。
というかこういう感じ方は世代差でもあるのかという気もします。ぼくらはやっぱりノストラダムス世代というか、オウム世代というか、自分の近くでも破壊的カルトに関わっていった人がいるし、前の病院にもう少し長く勤めていたら地下鉄サリン事件の被害者になったかもしれなかったので。
幸か不幸か脱会カウンセリングのような形でクライアントの方に関わったことはないのですが、たまたまクライアントとして関わった方が一般にカルトと呼ばれるような組織に関わっているということはあります。
その中で感じるのはやっぱりカルト信者問題というのはスペクトラム的に分布するということです。権威に従い、自己主張できず、権威を取り入れることでかろうじて適応を保っている人々、こうした人々への関わりは狭義のカルト問題以外にも必ず起こってくることだと思うのです。
精神分析にはライヒとフロムによるファシズム信奉者の分析がありますし、ファシズム国家の有り様を考えれば、本当に誰もがカルトに陥る危険性を抱えているのだと思います。
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つまり外側の自分とは関係のない外部にあるものとしてカルトを捉えるのでなく、自分の内側にある闇の部分としてのカルト親和的パーソナリティを見つめておく必要があると思うのです。この書籍はそのような問題への入り口を示してくれるだけですが、その先には各自が踏みいる必要があると思います。
それにぼくたちの業界とそんな関係のない世界でもないと思うのですよ。スーパーヴァイザーや教員とスーパーヴァイジー、学生の権威主義的な縦構造はやっぱりカルト?って思っちゃうことが結構ありますしね・・・・。
いや、確か神田橋先生が精神療法は洗脳だ、みたいなことをどこかでいっていたと思いますが、白魔術と黒魔術じゃないですが、人を変えるという意味ではセラピーとカルトってコインの表と裏みたいなところがありますよね。だからこそ、倫理というものを忘れてはならないわけなんですが。