徹底操作/反芻処理

 精神分析の "work through" をどう訳すか、っていうのはいろいろ議論があって過去の「フロイト選集」では「徹底操作」と訳されていた。だけど、精神医学で操作っていうと、まず操作的=manipulative で人をコントロールするという意味に使われることが多いので、これはあんまり使いたくない単語。新しい「フロイト全集」では「反芻処理」になったんだけど、「処理」っていうと一回きりっていうイメージがあってこれも今ひとつ。もともと日常用語なんだから、もう漢字熟語をやめて、「やり抜く」みたいな和語にしたらどうかという提案もあるんだけど、これだとキーワードだということがわかりづらいという難点があって、結局ワークスルーにしとこうかということになってしまう。
 "work through" には 元のドイツ語の "durcharbeiten" と同様に「じりじり進む」という意味もある。("work through the crowd") ここらへんのニュアンスが漢語では確かに出てないのだよね。何かいい訳ないのかな・・・。