Intra-Psychic から Interpersonal へ;リ・オーサリングという作業

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を見てきましたよ。
 正直言うと、「序」もDVD借りただけでちゃんと見てないのです。何となく見る気がしなかったわけですが、今敢えて言語化してみればもう一度あの内的対象関係の孤独な世界と絶望を見せつけられるのはうんざりだったのだと思います。まあ、そんなわけで「破」に関してもまあDVDになったら見てみるか・・・ぐらいの気持ちだったのですが、Twitter を眺めているとそのうちネタバレしてしまいそうだな・・・と思って、時間を作ってみてきました。
 まあネタバレにならないように感想を言うと、旧世紀版が内的対象関係の世界が中心であったのに対して、現実の対人関係に焦点が移行しています。精神療法的なメタファーで語るならば、思春期のグループなんだから、内的対象関係ばかりに深く潜ったらダメなのです。(まあ大人のセラピーでもやるかやらないかは別にしてグループ力動という視点のない精神分析家はあんまり信用しない・・・)内的対象関係を踏まえながら現実の対人関係を視野に入れないと。そういう意味では思春期のグループにはサリヴァン的、ヤーロム的な視点が欠かせないと言えます。
 あと思いついたのはリ・オーサリングということ。ナラティブ・セラピーでは「再著者化」と訳されることが多いのですが、ビデオの編集を行った人はビデオの編集ソフトの名称としてピンと来る人も多いのではないでしょうか。コンテンツを再編集することによって、主体が再び著者として実体化するわけです。
 エヴァンゲリオンというみんながそれをベースにしてさまざまな自らの物語を託した古典を、著者自らが同人誌化しちゃったのですね・・・。ちょっと「ひぐらしのなく頃に」みたいですが、本当はなかったはずの物語が再びここに描かれる・・・後二作でどこかに行き着くのか、庵野監督のことだからまた期待させておいてとんでもないところにたどり着くのかはわかりませんが、またフォローしていくことになりそうです。

 
 残念だったのはパンフレットが売り切れだったこと・・・