前も取り上げたのですが訳者の和田先生に焦点をあててしまったのでもう一度取り上げます。
ストロロウはコフート派のサイコロジストですが、前妻を癌で亡くした(朝起きたらベッドの隣でなくなっていた)という体験を通じて哲学的な省察を深めています。正直ハイデガーの「存在と時間」を引用した考察はよくわからないところもあるのですが、妻の死をきっかけにセラピーを受け、再婚した妻に支えられながら、その喪失に向き合おうという姿勢には心を動かされました。亡き妻に捧げる詩も掲載されています。
カバーの絵を再婚された奥様が書いているのですが、彼女は元クライン派で現コフート派の分析家。「精神分析家の前意識」を読んでいてもそう思いましたが、この極端から極端への転向がけっこうあることなのだなとあらためて感じました。
トラウマの精神分析―自伝的・哲学的省察 | |
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