「衛生展覧会の欲望」

衛生展覧会の欲望/田中聡

 荒俣宏は著書で見世物・ポルノグラフィーとしての衛生展覧会を見事に描き出していたけれど、これは衛生展覧会の背景にあった優生・衛生学的思想をあざやかに描き出している。


 ぼくらが子どもの頃にはまだあった「健康優良児」。優生学的な思想の影響だろうとは思ったがここまでとは思わなかった。
 昭和六年の「朝日新聞」に中学三年までの男女の健康優良児の半裸の写真掲載(もちろん女の子も)。身長体重成績も記載。近親者の病気、死去などもチェックされ、小学生の審査では早熟なものは好ましくないとされ脇毛なども審査のチェックになったという。


 この話もちょっとすごい。昭和六年、女子スポーツ連盟理事長の星野龍猪が中心に「日本裸体体操連盟」が結成される。健康を強調するヌーディズム運動がさかんに。星野の著書「はだか・日光・水」にはおまけとして「ハダカ写真50枚挿入」。今で言うならいわゆる野外露出なんだけど性的関心は建前上は禁止されていた。

衛生展覧会の欲望
衛生展覧会の欲望田中 聡

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2012年12月20日のつぶやき