フレンチ ラヴ・ポトフ

フレンチ ラヴ・ポトフ/那須恵理子

 このタイトルに、このガーリーなカヴァー。誰も精神分析本だとは思わないですね。筆者はラカン派の精神分析家。フランスのラカン派は分裂しまくっていてよくわかりませんが、国際ラカン精神分析協会所属だそうです。
 日本でラカン派は精神病理学的な理論で注目されてばかりですが、フランスではドルトの子ども相談を始め、この本の那須先生の恋愛相談など生活レベルで浸透しています。それゆえ精神分析黒書の発行など近年の認知行動療法の隆盛などから批判も強く、そのような批判の背景には自閉症心因論などを主張してしまう精神分析家の存在もあったりします。
 おしゃれでお金持ちたちが集う恋愛サロン・・・。合間には精神分析家たちの愛のエピソードなども絡められて楽しいですね。


 さて、日本のラカン派に理論以外の何が足りないかというと、やはり実践。実践を支えるスキルはというと、個人的にはオヤジギャグ(だじゃれ)と、愛を巡るファルス中心主義ですね。フランス語は国際語ではあるけれど、絶対数では英語にかなわない。だからこそファリックに自国語愛を主張しなければならないけれど、そのうらには去勢感が漂っている。だからこそ、精神分析はフランス語仕様に書き換えられて、自分たちこそ精神分析の主流(フロイトに帰った)であると主張しなければならなかった・・・などと連想を巡らせました。

フレンチ ラヴ・ポトフ
フレンチ ラヴ・ポトフ那須 恵理子

アンドリュース・プレス 2004-07-24
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2013年09月25日のつぶやき