「白土三平論」/「中原淳一の花のある美しい暮らし」/「幻のモダニスト: 写真家 堀野正雄の世界」
白土三平論/四方田犬彦
最近ようやく「カムイ伝」の第一部を最後まで読んだ。全共闘運動の盛り上がり共に、仮想的な農民の千年王国的ユートピア運動の敗北と再生の書としてもてはやされた「カムイ伝」も、全共闘運動の敗北と共に忘れ去られ、そしてマルクス主義の完全な失敗が判明した90年代以降、白土三平は批評家からも黙殺されてきた。しかし、やはりマンガ史的にいっても無視されていい作家ではなく、マルクス主義の呪縛が解けたいまこそ読みなおされてよいのだろうと思う。
白土三平の父親が左翼的な思想をもった画家だと言うことはこの本を読んで初めて知った。まだ未読の作品が多いので、人物史と「カムイ伝」のあたりを拾い読む。
白土三平論 | |
四方田 犬彦 作品社 2004-02 売り上げランキング : 591235 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 白土三平伝-カムイ伝の真実 カムイ伝講義 新世紀神曲 白土三平選集 11 真田剣流 1 (白土三平選集 新装版 11) パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い |
中原淳一の花のある美しい暮らし
「それいゆ」、「少女の友」、「ひまわり」などに載った中原淳一の花関係の文章をカラー写真だけ現代風にアレンジして取り直して再構成。全然古びていないね。実際の写真撮影に使われた器をご遺族からお借りして使うというこだわりぶりもよいです。
中原淳一の花のある美しい暮らし | |
中原淳一 六耀社 2013-05-28 売り上げランキング : 604728 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
幻のモダニスト: 写真家 堀野正雄の世界/東京都写真美術館
1907年生まれの写真家、堀野正雄の仕事を回顧する。1998年に91歳で亡くなったと言うから長生きしたんだね。写真家として注目されたのは若い頃で、25歳の時に出版した「カメラ・目x鉄・構成」が代表作と言うことになっているけど、バウハウスを思わせる表現主義的な作品よりも、学生時代に撮った演劇の写真や、婦人画報の専属カメラマン時代の写真がいいね。