「暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌」/「浮世絵入門 恋する春画」

暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌/高橋ヨシキ

 悪趣味なB級映画を対象にした解説本。著者紹介の所に「サタニスト」と出ていた。あんまり血なまぐさいのは苦手なのでこれだけでお腹いっぱいになる。
 ヤコペッティモンド映画論とインタビュー(モンド<悪趣味みたいな意味で使う>っていう言葉が「世界残酷物語」の原題"mondo cane 犬の生活"から来ていると言うことを初めて知った)、「バットマン・リターンズ」、映画「ブレードー・ランナー」の完全版でわかる非常にディック的な設定、「エクソシスト」の元ネタになったという現実のエクソシストのやらせぶりというか都市伝説ぶり、雑誌「ペントハウス」社長の「カリギュラ」への歪んだ情熱、コロンバイン事件の犯人への昏い共感、チャールズ・マンソンにも影響を与えた「チャーチ・オブ・サタン」の教義などなど。

暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌
暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌高橋 ヨシキ

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浮世絵入門 恋する春画橋本治 赤間亮 橋本麻里 早川聞多


◆多彩な題材を扱う浮世絵のなかにあって、ともすると白眼視されがちな春画。とくに女性には明治以来、男性が楽しむ"ポルノグラフィ"と誤解されてきた節もあります。しかし江戸の当時は、嫁入り前の娘も共白髪の夫婦も、老若男女が春画に親しんでいたのです。よくよく見れば、そこにあるのは今でいうナンパ、不倫、同性カップル、コメディ、悲劇、ファンタジー......と百花繚乱の恋模様。本書ではそんな賑やかな春画の世界を、気鋭の編集者・橋本麻里が女性ならではの視点から、ユーモアをまじえて撰修。三人のエキスパートを案内人に迎え、成り立ちから「書入れ」の読みかたまで、春画のイロハをやさしく手ほどきします。
◆本書は、美術ライターとして『BRUTUS』『芸術新潮』等で幅広く活躍している、橋本麻里さんが企画・編集・執筆(共著)したものです(『芸術新潮』2010年12月号特集を増補・再編集)。

〈これまで女性読者には敷居が高いと思われていたテーマである春画について、まずは手に取るところから始め、本来の魅力を知ってもらうために立てた企画でしたが、期せずして女性ばかりでなく、多くの読者にとって「目ウロコ」な特集になりました〉
〈本書ではそうした春画へのタブー意識を取り払い、「読む」「笑う」という、従来あまり注目されてこなかった、しかし江戸時代の庶民にとっての「リアルな春画」を理解する上で非常に重要な要素を、大きく取り上げています〉(橋本麻里)

◆これまで、春画に関する本は、彫りや刷りの超絶技巧など、絵師の技に焦点を当てたものが多かったように思いますが、本書は「生産者=絵師」よりもむしろ「消費者=老若男女の庶民」の享受の仕方を紹介しています。

〈おそらく江戸時代には秘画という意識はなかったと思います。そもそも春画は嫁入り道具でもあった〉
〈私がこれまでいやというほど大量の春画を見てきた経験からすれば、だいたい4割くらいが女性から仕掛けている図です。(略)「笑われ役」は圧倒的多数、8割以上が男性です〉(早川聞多)

橋本治さんの春画論、江戸の恋愛文化論が読めるのも、本書の大きな魅力です。

〈江戸時代って性的に自由というより、むしろ「性的に不自由という状態が基本的にない」状態だったと思うんです〉
ジェンダーが自由というより、そもそもジェンダーみたいな考え方はない、という方が近いのではないでしょうか〉
〈草食男子なんて、日本の伝統なんだから。日本のいい男は何もしないの!〉
〈江戸時代って、それくらい自由な時代だった。でもそれだけでよかったのかということなんです〉(橋本治)

 セックス・アンド・ザ・シティ感覚で大江戸の性を楽しむ。
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2013年10月14日のつぶやき