りかさん/梨木香歩

 文庫版。書き下ろしの「ミケルの庭」収録。
 文庫本にする際に後日譚を付け加えるなら、もっと無難な話にしそうなもの。こういう話を付け加えるのが梨木さんのすごいところだと思う。
 初めてこの本を手に取った人は、中間にはいるべき物語「からくりからくさ」をとばして読むことになる。後から「からくりからくさ」を読むと、「ミケルの庭」に書かれていることの意味が現れてくる仕掛け。人形が過去の歴史を引継ぎ、それを終わらせるために存在しているというシリーズ全体の構造にマッチしている。

りかさん
梨木香歩

新潮社
2003-06
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