五感で味わうフランス文学/野崎歓

 第二外国語はフランス語だったのだが、文法を教わったのが道元デリダ研究でバタイユなんか訳している森本和夫先生、教科書を読み上げ質問はと問い、誰もこたえなければ「ではこの課は学習しました」という感じの禅問答的講義。2年目は故・新倉俊一先生で、文法を一通り終えた理系の学生にプルーストの「失われた時を求めて」を読ませるという無茶。そこいくと教養の仏文系の先生はけっこうまともで名前は忘れちゃったけどフランス人の女性の先生で、映画「男と女」を見ながらリスニングをするゼミとかに出てた。「後で」「後で」と変なところで日本語を話すなと思っていたら"Attendez"(待って)だったことに気づいた・・・後に学長となる蓮見重彦先生も難解な文章とは対照的に日常語中心に実用的な講義だった。ただテストで「私(=蓮見先生)を修飾する形容詞をみっつあげよ」というのには笑ったが。"grand(でかい)"と書いたのは覚えているけど、後は何を書いたのだったか。
 その後、教育なんかにまったく興味はなかったのに教育学部にはいってしまったおかげで文学部の講義に結構出ていて、この本にもちらっと出てくるモーリス・パンゲ先生はロラン・バルトの友達というのに日本語の新聞記事を仏作文させるという地道な講義だけどおもしろかった。日仏学院にも通っていたのだけれど、最近は語学もご無沙汰ですっかり錆びついていることでしょう。
 そんなフランス語に関する記憶をいろいろ想起させてくれたのがこの本。久々にフランス文学でも読みたい気分。

五感で味わうフランス文学
五感で味わうフランス文学野崎 歓

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