こんなとき私はどうしてきたか/中井久夫

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 精神科医中井久夫先生の有馬病院での研修会講義をまとめたもの。だけど、このクオリティの高さは尋常じゃない。講義の対象に看護師が念頭に置かれているのもわかりやすさとなっていて良いです。例の精神科看護の教科書の講義集版という感じ。
 それぞれのセクションに短い金言のようなタイトルが付けられていて、これがまた良い。自分も最近「今日の一言」をブログタイトルに付けているけど、この皮肉嫌味体質がほとほといやんなっちゃうくらい臨床のセンスにあふれている。たとえば患者さんと出会ったとき「かれらは何を知りたいのか」「一生に何度もない、大事なときである 状況を説明する」「これから大いに変わりうる 希望を処方する」・・・



 いままで聞いたことがないような言葉を耳にして、その人が「なんだろう?」と考えるようにすることが精神療法なのであって、言葉の魔術で患者さんを治すわけじゃない。(p.42)
 これは普段自分が考えているようなことで、中井先生も同じようなことを書かれていてうれしい。自閉症の子どもにとって、ああいう解釈が正しいかどうかはともかく、クラインみたいな接近をする人って多分いなかっただろうと思う。


 今年度のベストにひとつがまた決定!

〈ケアをひらく〉こんなとき私はどうしてきたか
〈ケアをひらく〉こんなとき私はどうしてきたか中井 久夫

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 治療的「暴力」抑止論という章では中井先生の実演写真いりの「暴力」抑止法が掲載されていますが、本文中で下記のような書籍も紹介されていました。
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DVDブック 医療職のための包括的暴力防止プログラム包括的暴力防止プログラム認定委員会

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