「世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析」/「草間彌生 永遠の現在」/「ふるさとはフクシマ」

世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析斎藤環

 個人的に言うと中学生くらいのといはいわゆる「不良」の方々とはみ出し方向は違うけれど、学校への不満は共通していたので共闘したりしていたという過去はあるのですが、正直ヤンキー文化が体が受けつけないので、テーマ的につらかったというのが全体的な感想です。
 ヤンキー文化はマッチョにみえて実は関係志向の女性的な文化というのは、こういう二項対立にするとどっちの要素もあるっていえちゃうからな・・・・という気がしました。
 また主体的な特徴を欠くことが女性性の特徴(やや不正確な引用かも)って、結局男性性だってラカンの陥ったファルス中心主義と同じで空疎なことにかわりはないと思います。
 また、ヤンキーの光物好きは日本人の蛍光灯好き、面光源に対する光フェチの影響って言うのは無理がありすぎると思います。東恩納裕一を引用した丸形蛍光灯は日本でしか買えないっていう説も、アメリカのアマゾンで検索したらちゃんと買えるみたいだしね。やっぱりこれはキリスト教的な上下感覚が至高性と結びついた感覚が日本にはほとんどなくなく、むしろ奥行きの中に聖なるものを感じるという感覚の影響が大きいんじゃないでしょうか。

世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析
世界が土曜の夜の夢なら  ヤンキーと精神分析斎藤 環

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草間彌生 永遠の現在/草間彌生

 今年で入院35年目、講義で取り上げるようになって10数年ですが、なんだかどんどんビッグになっていく草間彌生先生の作品集。
 統合失調症的な分裂を抱えていると、通常はその混沌を抱えきれずひたすら境界の外に崩れていくような作品が多くなってしまうような気がしますが、草間先生の場合はそこに強迫的な反復する能力が奇跡的に同居している感じ。しかも自分の作品に対するネーミング「無限の網」とか「自己消滅」って括る能力がもうコピーライティング的に的確なんですよね。彼女にとっては自明なことなんでしょうが。とにかくお元気で作品を産み出し続けていただけることを願っています。

草間弥生永遠の現在
草間弥生永遠の現在草間 弥生

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ふるさとはフクシマ 子どもたちの3.11/元気になろう福島

 子どもたちの作文や詩にイラストレーターの絵をあわせたもの。読むとやはりあの日のことを思い出し、そして今の子どもたちのことを思う。

ふるさとはフクシマ 子どもたちの3.11 (えほんのもり)
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2012年12月12日のつぶやき