「僕の父は母を殺した」/「新編 学問〈龍の巻〉」/「名画で読み解く「聖書」」/「写実画のすごい世界」

僕の父は母を殺した/大山寛人

 犯罪被害者の家族が受けるさまざな苦しみとその支援に関しては犯罪被害者等基本法の制定もありようやく一定の関心が向けられるようになった。一方、近年は犯罪加害者の家族の苦しみについて書かれた書籍も出版されている。
 統計的に言えば殺人に関して最もリスクが高い相手は家族である。家族の中で殺人が起これば、遺された家族は加害者家族と被害者家族、両方を一度に体験することになる。
 この書籍は父親が母親を殺し、しかも父親のアリバイづくりを知らないままに手伝わされ、その2年後に殺人であったことを知った死刑囚の息子さんが自らの半生を語ったものである。
 母の突然の死、家に帰らぬ父親、そして父親が母親を殺した犯人であることを知ったときの驚き、怒り、悲しみ。その後に自暴自棄となって犯罪を犯し、自殺未遂を繰り返す。その彼がいかに父親の刑死をのぞまないという心境に至ったかが赤裸々に描かれている。
 殺人者の息子ということで受けたいわれなき差別にこころが痛む。

僕の父は母を殺した
僕の父は母を殺した大山寛人

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