風景構成法 その基礎と実践/皆藤章
昔、福井に住んでいたときに何かの集まりで皆藤先生の講演を聞いたことがあります。そのときも病院臨床での事例の話が印象に残っていました。
内容(「MARC」データベースより)
20年前中井久夫教授によって創案された心理臨床の技法・風景構成法は、臨床現場に定着しているが、その読み取りは個々の臨床家の感性に任されており、道標がない。本書は体系立って書かれた初めての風景構成法の本である。
目次
第1部 風景構成法の概説(風景構成法とは;風景構成法の理論的背景);第2部 風景構成法の読みとりに関する研究(風景構成法における構成プロセス;風景構成法における人物像と風景の中の自己像;風景構成法における誘目性;心理臨床のなかの風景構成法―ある女性の入院から結婚まで;心の成長と描画の変容―死と親和性のある少年;風景構成法からみた心理療法過程―幻聴に苦しむ男性;事例研究の中の風景構成法―読みとりの解説を中心に);第3部 数量的研究(風景構成法と他技法との比較;風景構成法の再検査信頼性;風景構成法における項目提示順序;数量的研究のための読みとり指標)
この本でも統合失調症の患者さんや、自殺企図を繰り返す患者さんに風景構成法や、バウムテストを手がかりに関わった事例が印象的でした。
- p.6 Ballint → Balint
風景構成法―その基礎と実践 | |
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人間コミュニケーションの語用論/ポール・ワツラヴィック ジャネット・ベヴン・バヴェラス ドン・D・ジャクソン
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1967年に出版されたMRI(Mental Research Institute)のコミュニケーション理論書。本書はグレゴリー・ベイトソンに捧げられており、ジョン・ウィークランドが序文を書いています。
内容(「BOOK」データベースより)
家族療法はここから始まった。この本を読まずに今や心理療法は語れない。ダブルバインド理論の集大成。内容(「MARC」データベースより)
行動障害に特に注意しつつ、人間コミュニケーションの語用的(プラグマティック)な効果(行動的な効果)を考える。家族療法の原点であるダブルバインド理論の集大成。目次
第1章 知的枠組み
第2章 コミュニケーションにおけるいくつかの試案的公理
第3章 病理的コミュニケーション
第4章 人間の相互作用の機構
第5章 劇「ヴァージニア・ウルフなんてこわくない」に対するコミュニケーション的アプローチ
第6章 パラドックス的コミュニケーション
第7章 心理療法におけるパラドックス
エピローグ 実存主義と人間コミュニケーション理論 展望
"one-up"、"one-down" とかいうコミュニケーションスタイルはMRI起源なんだねきっと。シンメトリー、コンプリメンタリーな相互作用(対照的、相補的相互作用)という表現からは、精神分析家ラッカーの調和的逆転移、相補的逆転移という用語を思い出しました。
ワツラウィック(なぜか表記はワツラヴィック)ってもともとはユング派の分析家だったのだね。
訳者の尾川さんがMRIに留学にいっていたというのは知らなかったな。
残念ながら本文の難解さはさしひくにしても翻訳は語調が固くて読みにくく、原語表記などに誤植多数。
- p.88 Repaarture → Departure
- p.96 リッズ Lidz → リッツ 「分裂した家族 schismatic family」「ゆがんだ家族 skewed family」という概念で有名。
- p.109,125 シンメントリー → シンメトリー(英語発音に近づければシメトリー)。
- p.111 惑星のシステム → 天文学では system は普通「系」と訳す。
- p.145 ベルグマン → ベルイマン
- p.185 不適切な位置での改行
- p.204 オーエル → オーウェル オーエルだと「OL」かと思ってしまいます。索引ではきちんと「オーウェル」と表記。
- p.205 ヘイドリック → ハイドリッヒ Heydrich ユダヤ人虐殺を先導したナチス親衛隊の高官。
- p.242 ”精神病症状の再行動化”(reductio ad absurdum) → ”背理法”
- p.243 人々を狂気にかりたてるもの (Similia similibus curantur) → 同種のものは同種によって癒やされる。ラテン語は likes are cured by likes. という意味。
- p.262 表記揺れ「開放システム/オープン・システム」
- p.328 Watzlawck → Watzlawick
- p.287 エディプス・ティラノス → エディプス王 フォン・ニューマン → フォン・ノイマン
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ドイツ語版以外は絶版のようです。
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