マスコミ等で有名精神科医の香山先生の80年代本。カルト雑誌の Heaven で名前を拝見して以来、ぼくの中では香山先生はこういう世界の方。
実は誕生日も同じと言うことで親近感があります。
ガクガクブルブルの転向カルトマスターの松岡正剛との工作舎での出会い、「香山リカ」の名付け親にして伝説のパンクバンド、ガセネタのヴォーカル、 HEAVEN の編集長である山崎春美とその妻、ロリータ順子とのからみなどいろいろおもしろい話が載っていました。
山崎春美のバンド、「タコ」にはライブで参加したことはあるものの(もともとメンバー不定のユニット)、レコードにクレジットのある「香山リカ」は別人ということです。まあ山崎春美について知るには、この本と大里俊晴「ガセネタの荒野」を読むとよいでしょう。鈴木いづみの小説にも山崎春美をモデルとした人物が登場するらしいですが、どれかはわかってません。
式場隆三郎の血を引く人とフィリップ・K・ディックに関する対談をしたっていうのも出てました。式場隆三郎はアウトサイダーアート等に関心のあった精神科医でたくさん本を書いてます。いま簡単に入手できるのは二笑亭に関する本くらいでしょうが。式場病院の薔薇園は中井英夫の小説のモデルにもなり、精神分析の高橋哲郎先生が昔勤められていた病院でもあります。
80年代もアンダーグラウンドの香りが残る前半と、プラザ合意以降の軽薄短小の時代は異なるのではないかというお話ですが、ちょうど北大に研修医として勤務するために東京を離れた香山先生と入れ替わりにそういう80年代後半を東京で過ごした自分は何とちょっと思ってしまいました。