自閉症裁判/佐藤幹夫
2001年4月、浅草で起きたレッサーパンダの帽子をかぶった男による通り魔殺人のルポルタージュ。
著者は障害児教育に関わった経験を持つジャーナリスト。弁護側の証人として児童精神科医の高岡健先生。
事件の詳細はこの本を読んで初めて知りました。もちろん殺害された19歳の女性の家族の被った喪失とマスコミによる二次被害の大きさに揺さぶられますが、一方で広汎性発達障害を抱えている(と思われる)被告が警察の取り調べでいいように調書を取られてしまう裁判手続き上の問題点も浮き彫りとなっています。
また、この事件をきっかけに末期癌で脳腫瘍のターミナル状況で、被告人以外にも障害者を抱える家族を支え続けた被告の妹に障害者の支援団体が関わり、25歳で死を迎えるまでのわずかな期間で彼女の「何もいいことがなかった」人生にわずかな楽しみを加えたというエピローグにこの国のいきとどかない障害者行政を改めて感じました。
お薦めです。
自閉症裁判―レッサーパンダ帽男の「罪と罰」 | |
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