「家族」と治療する 私の家族療法を振り返る/石川元

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 ワン・ウェイ・ミラーの向こうで治療を眺めるマスター・セラピストを「権威」として使う発想を読んで、「リフレクティング・チーム」というアイディアはこうした権力構造の打破が目的であったかと思いました。
 それにしても、いかな戦略的アプローチとはいえ、家庭に「座敷牢をつくれ」と指示するとか、ランチセッションで母親が口移しで子どもに食事を与えるように指示するとか、王様ゲームじゃないよとツッコミをいれたくなるところが目につきます。テレビ番組の企画で親戚が見ることを想定の上で家族療法を行い、病因を家系に「外在化」して反応を見るというのも、いくら何でも乱暴なのでは・・・
 はてなのリンクで、自殺したマンガ家山田花子を扱った著者の書籍が、両親には伝記を書くと伝えて取材しておきながら症例として焦点を当てた形で発表されたという両親からの抗議で絶版となったという経過を知り、何だか納得しました。

「家族」と治療する―私の家族療法を振り返る
「家族」と治療する―私の家族療法を振り返る石川 元

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