本文は実質70ページくらいの小著ですが、訳者の和田先生の本文への詳細な注釈、ストロロウとの対話、長い解説(本文の半分くらい)がついてます。
近頃はやりの「間主観性」(最近始めた日本臨床心理学会の非公式ディスカッション・グループでも話題になってます)ですが、訳者の和田先生は意味にまで踏み込んでオグデンでは「間主体性」、ストロロウでは「相互主観性」と訳し分けていて、ここら辺は鋭いなと思いました。
ところで訳者の和田先生、オグデンの翻訳も結構細かい解説を本文中に入れていたり結構訳書でも自己主張する方で、さすがコフート派だなと思ってはいました。本書の解説でもご自分が博士論文リジェクトされた体験とか通常の解説の範疇を逸脱して書かれていますが、下記の文章にはちょっとのけぞりました。
「スーパーヴァイザー」→「スーパーヴァイジー」です。恐るべしフロイディアン・スリップ。
私はストロロウのスーパーヴァイザーとして、彼の臨床家としてのあり方、考え方も紹介しておきたい。(p.106)
来月、本が出ますけどこんな誤植がないことを祈ります。
トラウマの精神分析―自伝的・哲学的省察 | |
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