平凡倶楽部/こうの史代
エッセイ集、ってことだけど、もちろん普通のまんがあり、四コマあり、チラシの裏まんがあり、カレンダーあり、文字を使った絵あり、提出されなかった婚姻届(事実婚とのこと)あり、とバラエティに富んだ内容です。
原爆まんが家というレッテルにうんざりした感じに好感が持てます。
平凡倶楽部 | |
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石田徹也ノート/石田徹也
「日曜美術館」で取り上げられ、美術展を足利市美術館を皮切りに巡回中である画家石田徹也の作品集。
死後に残されたノートからアイディアメモや文章を抜き出し、完成された作品と並べる。
「石田徹也全作品集」で見ているはずだけれど、大きな版でみると新鮮ですね。「日曜美術館」でもとりあげていた夢日記とその作品化も面白いです。
石田徹也ノート | |
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夢人館 1 フンデルトワッサー
オーストリアにいったときにフンデルトワッサーが設計した家をたまたま見た。彼が描く渦巻き模様は若い頃にウィーン大学で見たパリのサンタンヌ病院に入院している統合失調症の患者が描く絵からインスピレーションとのこと。彼の二番目の奥さんは来日中に出会った日本人(その後離婚)で、その方も執筆しているのだけれど、フンデルトワッサーのマザコンぶりが書かれていておかしい。ユダヤ人だった母親の親族はことごとく強制収容所に送られ、そこで亡くなっていたとのこと。
夢人館 1 フンデルトワッサー | |
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少女の私を愛したあなた: 秘密と沈黙 15年間の手記/マーゴ・フラゴソ 稲松三千野
7歳の少女が出会った51歳の男。少女が22歳になったとき、男は自殺する。その15年に起こった男と少女の性的な関係。
筆者が自らの体験を元に描いた自伝的小説。くくりはノンフィクションになっているけれど、個人的にはやはり自伝的小説だろうと思う。7歳の頃の記憶は恐らく小説的想像力で再構成されているから。ただし小説としてみると、やはり個人的な体験のインパクト大きすぎてバランスを欠き、芸術作品としては完成度は低いように思う。同じような素材であれば、内田春菊の「ファザー・ファッカー」の方が優れていると思う。ただ筆者としては過去の整理としてこの作品を書かざるをえなかったのだろう。
精神疾患を持った母親と、がさつで育児放棄ぎみの父親は、おそらくはなかば気付きながら、娘をペドファイルのもとに託してしまう。主人公が自らも望みながら男と関係を持ち、その直後に大量服薬して精神科に入院するのは痛々しい。
原題は "Tiger, tiger: A Memoir" 確かに「虎よ、虎よ」とするわけにはいかないだろうが、邦題のセンスはいただけない。真剣に愛したのならともかく、他の少年・少女にも性的虐待を加えていた悪質なペドファイルなのだから。
少女の私を愛したあなた: 秘密と沈黙 15年間の手記 | |
マーゴ・フラゴソ 稲松 三千野 原書房 2013-02-22 売り上げランキング : 296243 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 児童性愛者―ペドファイル ごっこ 1 (ジャンプコミックスデラックス) 欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち ごっこ 3 (ジャンプコミックスデラックス) ごっこ 2 (ジャンプコミックスデラックス) |
ハイジの原点/ペーター・ビュトナー
ちょっと前にヨハナ・シューピリの「アルプスの少女ハイジ」が盗作ではないかということがニュースになりましたが、その元本の翻訳と検証論文。全体としてはそんなに似ている感じではないですが、主人公の名前の一致とか、ディティールの一致具合をみるとシュピリが、元本を参照していたのは確かという感じですね。ただ、やっぱり元本の方は埋もれるべくして歴史に埋もれ、ハイジの方は残るべくして残ったと思います。
しかし、うんざりしたのは(たまたま幼児性愛テーマの本が重なったこともありますが)服を脱いで下着姿になってアルムの山をかけまわるハイジは「犠牲として身を捧げる覚悟を固めて」おんじとアイコンタクトをかわしたと、ハイジを性的虐待児童、おんじをペドファイル的に解釈している部分。ハイジがビクティマイズされやすいというのは確かですが、そういうテーマでシュピリが書いていないというのは全体の流れからわかりそうなものですが。ロッテンマイヤーさんの性的願望について論文書いているぼくがいうのも何だけど邪悪すぎます。
ハイジの原点 | |
ペーター・ビュトナー 川島 隆 郁文堂 2013-03-16 売り上げランキング : 598681 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 図説 アルプスの少女ハイジ (ふくろうの本/世界の文化) カフカ『変身』 2012年5月 (100分 de 名著) |
暁斎妖怪百景/京極夏彦 多田克己
河鍋暁斎ってこんなに妖怪絵を残していたんだね。狸の大金玉の絵、日本のゴスともいうべき髑髏たちをバックにした地獄太夫の絵などが面白かったです。
暁斎妖怪百景 | |
京極 夏彦 多田 克己 国書刊行会 1998-08 売り上げランキング : 373663 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 国芳妖怪百景 北斎妖怪百景 芳年妖怪百景 河鍋暁斎―奇想の天才絵師 (別冊太陽) 画図百鬼夜行 |
ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学/林浩平
そういえばぼくはブリティッシュ・ロック研究会に所属していながら、ほとんどブリティッシュ・ロックを演奏しなかった。そういう方が自由でいいじゃないか。政治と時代の雰囲気と切ろうにも切れなかった70年前後のロック。今は自由じゃないか。政治に関わりたければ関われる。関わりたくなければ関わらない。
ブリティッシュ・ロック中心主義もどうかと思うし、それを権威づけるために哲学やオカルト持ち出すのもどうか。最近良いバンドがないと言う人は基本的に老化によって新しいものを受けつけなくなっているだけという気がする。
ロックは死なない。同じロック教徒だとは思うけど、林さんとぼくは対極にいると思う。
ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学 (講談社選書メチエ 557) | |
林 浩平 講談社 2013-08-09 売り上げランキング : 22332 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 「東洋の魔女」論 (イースト新書) タモリ論 (新潮新書) キャリアポルノは人生の無駄だ (朝日新書) 現代オカルトの根源:霊性進化論の光と闇 (ちくま新書) 「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか |