少年への性的虐待　男性被害者の心的外傷と精神分析療法／リチャード・ガートナー

　性的虐待というと女性が被害者としか思い浮かばないのでは、想像力が足りない。従来、光をあてられることが少なかった男性の性的虐待被害に焦点を当てた著作。　作者はニューヨークで活躍する対人関係学派の精神分析家。サブタイトルは「男性被害者の心的外傷と力動的精神療法」の方が適切だろう。

　まず後書きに引用されているユングのフロイトへの手紙の中にある

この忌まわしい感情は、少年の頃の私が以前に崇拝していたある男性から性的暴行の犠牲になった事実によるものです。

　という記載に驚く。今風にいえばユングも性被害のサヴァイヴァーということか。

少年への性的虐待―男性被害者の心的外傷と精神分析治療
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