ガイドブック心理療法/スティーブン・パーマー 編

 訳は講義で輪読したレジメをちょっとてなおししたという感じ。下訳レベルで誤訳満載です。"psychoanalyst" は医師でない人もいますから、「精神分析医」は不適切。


 フロイト派カウンセリングにおいて定まった実習もなければ、実際、定まった理論もない。(p.24)
 There is no one agreed set of practices in psychodynamic counselling,
 なんていうとフロイト派の人に怒られます。原文は「フロイト派」ではなく「力動的」で、このふたつは微妙にニュアンスが異なります。また、こういう one を省略してはいけません。

 試訳 力動的なカウンセリングの実践も、理論も、ひとつに定まっているとはいえません。


 クライン派について述べた以下の部分も邦訳を読んでもまったく意味不明です。


 例えばある日、息子はクラインにこういった。「どんなに考えたとしても、教えてもらったことならうまくできるんだ。」クラインは子どもたちを分析させることで、その親たちを落胆させたが、(p.54) One day, for example, he told her he was 'not afraid of any more of the things that have been explained to him even when he thinks of them.' Althought Klein discouraged others from analysing their own children,
 まあ、子どもが両親のセックスを覗いていてそれを遊びにしてるなんていわれたら、親は落胆するかもしれませんが、そんなことは原文には書いてありません。

 試訳 ある日、息子がクラインに「思い出しても説明してもらったらもう怖くないんだ」と言った。クラインは他の分析家には自分の子どもは分析しないように勧めたが
 自分の子どもを症例報告に使っていたクラインが、人にはするなといっていた話しでした。
 ダメダメでございます。

ガイドブック心理療法
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