強迫性障害治療ハンドブック/原田誠一 編


確認強迫、手洗い強迫、質問癖など、強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder:OCD)の症状はますます多様化し、治療者・臨床家にもそれぞれの症状に見合った対応が求められている。
本書では強迫性障害の診療全体、すなわち診断・症状評価・薬物療法・行動療法(とくに曝露反応妨害法)・認知行動療法・心理教育・その他の精神療法をバランスよくとりあげ、最新の知見をふまえた診療の進め方が具体的に解説されている。
また、強迫性障害の病態研究の進歩や強迫性障害にまつわるさまざまなトピックス、さらには熟達の臨床家による“治療のコツ”も収録した。
さらに、巻末には診療現場ですぐに役立つ多数の資料(エール・ブラウン強迫観念・強迫行為尺度、モーズレイ強迫症状評価票など)が収録されているので、折に触れて手にとり活用できるだろう。
本書は、長年強迫性障害治療に取り組んできた臨床家による、臨床家のためのハンドブックである。


目次
第1部 強迫性障害のデータベースup to date
第2部 強迫性障害の理解
第3部 強迫性障害の治療
第4部 さまざまな立場からの臨床の知
第5部 強迫性障害の広がりと対応の工夫
第6部 私の強迫性障害・治療のコツ
第7部 巻末資料

 認知行動療法、行動療法、薬物療法、力動的心理療法森田療法、家族療法など、さまざまなアプローチからの強迫性障害についての治療論が述べられています。何といっても一番インパクトがあったのが、不潔恐怖の人に行われる大便を用いたエクスポジャー法。実際に大便をさわり、一番塗りたくない部位にぬりつけて不安がさがるまで耐え、その後も洗ってはいけないとのこと。不潔恐怖症ならずともぞっとしますが、ここまでするならこれは治らざるを得ない気がしてきます。確認強迫に対する「壊れたレコード法」なんてのも、どことなく戦略的なアプローチという感じがします。もう少し実際の治療上でのやりとりを知りたくなりました。
 行動療法についてはブログで有名な久野先生も執筆されてますが、それは認知療法に対しても純粋に計測不可能な「認知」を対象にするということで批判するなら、一般のサイコセラピーなんか何をかいわんやという感じなのでしょうね。納得いたしました。
 他にも家族療法からは平木典子先生、精神分析心理療法は溝口純二先生、ひきこもりと強迫性障害については斎藤環先生など、豪華なメンツです。
強迫性障害治療ハンドブック
強迫性障害治療ハンドブック原田 誠一

金剛出版 2006-06
売り上げランキング : 184994

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
不安障害の認知行動療法〈3〉強迫性障害とPTSD
強迫性障害の行動療法
統合失調症の治療―理解・援助・予防の新たな視点
強迫性障害の治療ガイド
子どもと若者のための認知行動療法ワークブック―上手に考え、気分はスッキリ