真理の山―アスコーナ対抗文化年代記/マーティン・グリーン

 カウンターカルチャーというとヒッピー文化をつい連想するけれど、これはヨーロッパのカウンターカルチャーの中核であったアスコーナを巡る人物絵巻。アスコーナでは世界中の宗教学者が参加したエラノス会議も開かれていて、ユングなんかも参加している。


 一番面白かったのは精神分析家オットー・グロースを巡る人間関係。オットー・グロースの父親ハンスは犯罪学者で1913年ハンスは息子を危険な精神障害者であるとして逮捕させた。カフカはハンス・グロースにプラハ大学で学んでおり、『訴訟』はオットー逮捕の一年後に書かれたといわれている。 
 リヒトホーフェン姉妹の妹のフリーダは19歳で結婚3児を出産するが、1912年にD.H.ロレンスと駆け落ち。ロレンスの死後、別の男と同棲しつつ伝記を執筆した。姉のエルゼはマックス・ヴェーバーについて社会学を学んでいたが、同じヴェーバーの弟子エドガー・ヤッフェと結婚。オットー・グロースと関係を持ちグロースの妻と同時期にグロースの子どもを生み、二人とも子どもにペーターと名づける。その後エルゼはマックス・ヴェーバーと弟のアルフレッド・ベーバーと関係を持ち、夫のヤッフェが死んだ後は二人と同じ家に住んだ。

真理の山―アスコーナ対抗文化年代記
真理の山―アスコーナ対抗文化年代記マーティン グリーン Martin Green 進藤 英樹

平凡社 1998-05
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