ダダ・シュルレアリスムの時代/塚本史
ダダ・シュルレアリスムとぼくたちはつい中丸で結んじゃったりするけれど、詳しくないとわからないいろいろな分派闘争があるわけです。「ユングやアドラーなどの精神分析家は・・」なんて間違って言おうものなら「一緒にしてくれるな」とめんどくさいことになってしまう。
シュルレアリスムが人間の無意識の珍妙さを意識に浮かべるという精神分析的な深層構造を仮定する文学運動であるのに対して、ダダの方はもう名前からしてアナーキズムと無意味さの強調があり、これが革命志向の左翼と集合離散しながら非難し合ったりていうのは、精神分析で深層心理学や、自我心理学、対象関係論、ラカン派、自己心理学派など、外から見たら大差ないじゃんというような分派の間で喧々囂々する様子とダブって見えます。
この本は特にダダの中心人物であるトリスタン・ツァラに焦点をあてつつ、ルーセル、バタイユといった人々も論じるという構造ですが、個人的にはツァラの言葉遊び的な側面は好きです。学生時代には詩集を買ったような記憶もあります・・・・。
ダダ・シュルレアリスムの時代 (ちくま学芸文庫) | |
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