光市の母子殺人事件の加害者元少年へのインタビューを中心した取材をまとめたもの。
「増田さんって人間が怖い」というのは取材された加害者の父親がいっている言葉なんだけど、これはちょっと同感するところがあった。
同じような少年犯罪暴露ものでも草薙厚子氏の文章は、文章の裏の著者の感情が透けて見えるところがあったけれど、増田氏の場合は本当に淡々と書いている。「どこかに出したりしないというなら、お話しします」という元少年の発言も、そのまま淡々と記載されている。
著者の意図かどうかはわからないけれど、帯に並べられた被害遺族の本村さんの言葉と加害元少年の言葉も、そこに欠落した配慮が怖い。
ただこの本を読んで加害少年の幼さについてはだいぶイメージができた。いわゆる「不謹慎な手紙」に関しても文通相手の取材によってどのような背景であの手紙が書かれたかがわかった。そこにあるのは新聞報道から感じられた傲慢さよりは絶望的な幼さである。女性ジャーナリストとの交流を好み、いきなり名前でなれなれしく呼んでしまう加害少年のありようを伝えている。
福田君を殺して何になる | |
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