「なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異/ダロルド・A・トレッファート」

 ダウン症はもともとは蒙古人型知的障害者と名付けられ、現在はその命名者であるジョン・ラングドン・ダウンの名前を取って、「ダウン症」と呼ばれる。ダウン博士の生涯は『ダウン症療育のパイオニア』によって日本語でも読むことができる。彼は知的障害者の施設の院長となり、そこでカレンダーの曜日を当てるなど特異な領域にのみずば抜けた能力を発揮する知的障害者の存在に気づいた。これをダウン博士は「知的な白痴」と名付けたが、現在はその差別的なニュアンスを避けて「サヴァン症候群」と呼ばれるものである。
 本書は計算、音楽、彫刻などの分野に特異な才能を示すサヴァン症候群と思われる知的障害者自閉症をもつ人々を紹介し、その科学的な解明をはかった書籍である。現在は脳科学は、この本の出版時よりさらに進歩しているので、彼らのあまりに具体的すぎる思考方法についてもさらに多くのことがわかってきたのではないだろうか。最新の情報がもう少し知りたくなる。
なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異
ダロルド・A. トレッファート 高橋 健次

4794203853

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