ルジャンドル、フーコー、ラカンとぼくたちの業界にも絡んでくる思想家たちを圧倒的な筆致で描いた「夜戦と永遠」で華々しいデビューを飾った佐々木中さんの対談・評論集。
オウム的、遡ってはナチス的なカルト的権威主義をもたらすニヒリズムに対する、徹底的な抗戦の姿勢はこういう形で何度も読むとわかりやすい。
佐々木さんが対談でもほんとうにこんなふうに語るのであればやっぱり一度その語りを生で見てみたいね。ラッパーの宇多丸さんとの対談ではそのヒップホップ的あり方がわかっておもしろい。そんなところがベースにあるから twitter でちょっとやりとりしたりもしてくれるんだね。まあ、たいていラカンなんていっている人はお高くとまってて twitter で読者と交流なんかしてないだろうから・・。
「1Q84」がオウムを批判しつつ、主人公のふたりも結局はオウム的言動を反覆してしまうと言う小説としての間違いをおかしているという指摘も興味深かった。この批評はBook2まで書かれた時点のものだけど、確かにBook3でもその壁はこえられてないんだろうな。
アナレクタ3も出ているのに気づいたのでそっちも読んでみます。