福来友吉と相馬黒光 「透視も念写も事実である ――福来友吉と千里眼事件/寺沢龍」

 千里眼事件で御船千鶴子や長尾郁子の透視能力の実験を行った福来友吉の伝記的小説。
 焦点はやはり千里眼事件の所なんだけど、そこに至る前段階でも興味深い事実を知った。
 福来はいったん早稲田専門学校に入学するも、東京帝大への憧れが強く、第三高等学校(現在の京都大学)に入学後、第二高等学校(現在の東北大学)に転校。宮城控訴院判事の町田真秀の書生となる。後に結婚する町田辰は真秀の娘で宮城女学院(現在の宮城学院女子大学)に通学していたが、ストライキ事件に関わり退学処分となり、明治女学院に入学する。この時宮城女学院の下級生で同じくストライキに関わったのが、後年相馬愛蔵と結婚し、新宿中村屋を創業した相馬黒光である。現在の中村屋というとパンというイメージしかないかもしれないが、日本史的には芸術・政治のサロンとして機能していた。
 黒光は宮城女学院を退学した後、フェリス和英女学校を経て、明治女学院に入学している。当時の明治女学院は北村透谷や島崎藤村が講師陣にいて人気があったとのことだ。
 亡命したインド独立運動家のボーズと長女俊子が結婚しており、国木田独歩と黒光のいとこの間にできた子どもを養女に迎えている。
 ウィキペディアでみるとクリームパンというものも黒光の発明らしい。
 日本は狭いけど、明治時代だともっと狭いね。


相馬黒光 - Wikipedia


透視も念写も事実である ――福来友吉と千里眼事件
透視も念写も事実である  ――福来友吉と千里眼事件寺沢 龍

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