「クリスティーネ・フルヤ=ゲッスラー メモワール 1978‐1985」/「末法眼蔵」/「回想の鴨居玲」/「パブ・ロック革命」

クリスティーネ・フルヤ=ゲッスラー メモワール 1978‐1985/古屋誠一

 藤原新也の写真集の写真集「末法眼蔵」を見て知りました。写真家古屋誠一がドイツ人の妻クリスティーネとの出会いから死までをカメラに納めた写真集。クリスティーネはとても美しく、母としてのまなざしも慈愛もやさしげだか、どこか Mad Cap Laughs のジャケットに写ったシド・バレットを連想させるうつろな表情が増えていく。定職もないような夫を放送局の仕事で支え、長男も授かるが、俳優としての勉強を始めた頃から歯車は狂い始める。スキゾアフェクティブというから昔の日本でいう非定型精神病を発症した彼女は入退院を繰り返し、結局ベルリンのアパートの9階から身を投げた。解説で古屋は「ママを殺したの?」という息子の問いに答えて「そうだ」と答えてしまったことへの後悔についてふれている。写真家の業というものも感じさせる一冊。

クリスティーネ・フルヤ=ゲッスラー メモワール 1978‐1985
クリスティーネ・フルヤ=ゲッスラー メモワール 1978‐1985古屋 誠一

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 こういう選曲は好みじゃないけど、写真が見れるので。そういえば古屋氏は静岡出身で、障害をもっている弟さんは浜松の施設におられるとのこと。

末法眼蔵/藤原新也

 前述の藤原新也による写真集の写真集。いくつか興味を引かれたものは見てみようと思う。朝日新聞の書評欄に連載されたものとのこと。
 最後にこの本自体が写真とともに取り上げられているのがメタ的で面白かった。

末法眼蔵
末法眼蔵藤原 新也

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回想の鴨居玲―「昭和」を生き抜いた画家/伊藤誠

 親しかった著者にしてみたらそう思えるのかもしれませんが、個人的には鴨居玲は「生き抜いた」なんてフレーズがもっとも似つかわしくない人かと思うのですが。
 元神戸新聞の美術担当記者、姫路美術館副館長の筆者による画家鴨居玲の回想。いろいろな媒体に書いたものや、鴨居玲からの手紙など、ややまとまりには欠ける内容です。

回想の鴨居玲―「昭和」を生き抜いた画家
回想の鴨居玲―「昭和」を生き抜いた画家伊藤 誠

神戸新聞総合出版センター 2005-06
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パブ・ロック革命―ニック・ロウ/エルヴィス・コステロ/ドクター・フィールグッドらのロックンロール・デイズ/ウィル・バーチ

 結構マイナーなテーマだけどよく翻訳できましたねという感じ。読んでみて自分にとって改めてパブ・ロックと言えばドクター・フィールグッドなんだということを認識。
 最初の方がニック・ロウの所属したバンド、ブリンズリー・シュワーツの話が延々続いてちょっとつらかった。ゼッペリンとかピンク・フロイドとか、メジャーなロックグループがスタジアム化する一方で、ガレージパンクやらブルースやらスワンプやらソウルやらロカビリーやら、さまざまな要素がごった煮になってパブ・ロックという形で結晶化し、パンクロックに大きな影響を与え、それがダムドやピンク・フェアリーズのラリー・ウォリスなども在籍したスティッフ・レーベルの設立という形でロック界の一勢力となっていく過程が描かれている。
 巻末のディスコグラフィーは充実しているけど、ぼくのようにパブ・ロックをプロトパンクとしてとらえている人にとっては、これがパブ・ロックですかというものが多かったかな。

パブ・ロック革命―ニック・ロウ/エルヴィス・コステロ/ドクター・フィールグッドらのロックンロール・デイズ
パブ・ロック革命―ニック・ロウ/エルヴィス・コステロ/ドクター・フィールグッドらのロックンロール・デイズウィル バーチ Will Birch

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Fri, Nov 09

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