「マスード 愛しの大地アフガン」

マスード 愛しの大地アフガン/長倉洋海

 これも適当に手にした写真集なんだけど、生と死について考えさせられた。
 被写体となっているのはアフマド・シャー・マスード。タジク系アフガン人。軍人の息子に産まれ中等教育をフランス語で受けカブール大学工学部に進学。ソ連のアフガン侵攻の際に反ソゲリラのリーダーとして勝利を重ね「バンジシールの獅子」と呼ばれる。
 これは首都カブールを解放したころの写真集。
 激務と生命の危険にさらされながら寝る間をけずって読書にあて、イスラムのもとの万人の平等を唱えた男。日本からきたペルシア語の話せるジャーナリストにも快く胸襟を開く。
 その後の歴史の展開は周知の通り。イスラム原理主義タリバンが勢力を伸ばし、彼らは再びカブールを追われ、山岳地帯で「北部同盟」としてタリバン勢力と対抗し、マスードはそのリーダーとなった。アメリ同時多発テロの2日前に暗殺される。
 発足時のカルザイ政権には彼の弟が副大統領として加わっている。もっと長生きしていればとは思うが、彼のような生き方をしてここまで生きられたということが奇跡的だったかもしれない。しかし、彼を殺したのがソ連軍ではなく、恐らく同じムスリムだったたということは皮肉。
 マスードの追求したイスラムのもとの平等が実現しますように。

マスード 愛しの大地アフガン
マスード 愛しの大地アフガン長倉 洋海

JICC出版局 1992-09
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2012年12月22日のつぶやき