「分裂病」の消滅/内海健

 デリダなど現代思想がいろいろ引用されて難解です。「精神科臨床とは何か」の明快さがあらためで実感されます。
 時間論は面白いな。「夢の分析」のように、近代になって失われた神秘体験としての超越性とは対極に、近代になって初めて生まれた未来感覚としての主体の超越性か。
 デカルトウィトゲンシュタインの病跡学も掲載されていますが、ウィトゲンシュタインの兄3人が自殺しているというのに驚きました。さては奈津川家か、鏡家か、ウィトゲンシュタイン家かという感じです。