「おたく」の精神史 1980年代論/大塚英志


第1部 「おたく」と「新人類」の闘争(「おたく」の誕生
「新人類」とは何であったのか ほか)
第2部 少女フェミニズムとその隘路(岡田有希子と「身体なき」アイドル
黒木香ピンクハウス ほか)
第3部 物語消費の時代(ディズニーランドと現実化する虚構
収集する主体 ほか)
第4部 九〇年代のなかの八〇年代(湾岸戦争と「文学者」たち
漂流する人々 ほか)
 自分にとってリアルな年代というものがあるとすれば、生を受けたサイケ・ヒッピーの60年代、オウム、エヴァ、震災を遠景に眺め、精神病院に勤めていた90年代のふたつだろう。大学時代を送った80年代は中間に挟まれた空虚な時代だった。だから80年代に生まれた世代が岡崎京子アンダーグラウンドロックの時代として憧憬をもって語るのを聞いたとき、不思議な気分に襲われたものだ。
 終わってしまった80年代を巡る大塚の語りは、妙な気分に自分を連れて行く。当時買っていたコミック「リュウ」の編集が大塚だったこと、すでにマンガを書けない状態になってから初めて知った岡崎京子を見いだす大塚・・・ほとんど追憶によって再生された60年代のように、空虚のはずの80年代に自分の中で起こったことがしばし頭を巡った。
「おたく」の精神史 一九八〇年代論
4061497030大塚 英志

講談社 2004-02-21
売り上げランキング : 48,609

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
教養としての〈まんが・アニメ〉 講談社現代新書
〈美少女〉の現代史――「萌え」とキャラクター
物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」
サブカルチャー文学論
オタク学入門