takashi さんのところや、しゅうさんのところで「受容・共感」が話題になっているので、takashi さんの取り上げた下山晴彦先生の雑誌「臨床心理学」の連載「アセスメントのすすめ方」を読んでみました。先月号ではパニック障害の事例を通じて、アセスメントについて論じています。
B臨床心理士はどうも大学院でたてのようです。ロジャーズの「無条件の肯定的まなざし」も「共感的理解」もなんだかずれてます。無条件の肯定的まなざしはクライアントの不安をやわらげるために行うわけではないでしょうし、共感的理解というのは別にクライアントの表現する言葉に共感するわけじゃなくて、クライアントだったらどう感じるか考えるか理解しようとする態度のことでしょう。
B臨床心理士は、大学院で学んだカウンセリング、精神分析、発達心理学の考え方から、まずAさんの不安感を少しでも弱めるために彼の気持ちを無条件に尊重し、できる限り彼の表現に共感していくことにした。それとともに幼児期の親子関係に焦点を当てて話を聞くことにした。
精神分析との折衷がなんともぎこちない感じですし、精神分析的なアプローチならセラピストから何らかの話題に焦点を当てて聞いたりはせず、自由連想を基本にするでしょう。
Aさんは「母親に甘やかされたとは思っていない。今まで新しい環境でがんばってきた」と肯定的なことも述べているのですが、B臨床心理士は特に悲観的な気持ちに焦点をあてて聞いています。んー、確かにこれはあんまり感心しないですね。
B臨床心理士は、Aさんの悲観的な気持ちを共感的に聞いていくことを重視した。
そこで下山先生が強調される「生物ー心理ー社会モデル」が登場して、B臨床心理士のモデルが否定されるわけです。要するにB臨床心理士はやられキャラなんですが、ちょっと弱すぎて、ヒーローの強さが目立たないんじゃないかと思いました。もっとまっとうなロジャーリアンとか、精神分析家とかのそれなりにまともな対応があって、それをしのぐ強さの「生物ー心理ー社会モデル」登場!となると強さもひきたつのではないかと・・・
臨床心理学 (第5巻第6号) 統合失調症の心理療法 | |
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