死にゆく子どもの世界/マイラ・ブルーボンド・ランガー

 成人になってから骨髄穿刺を経験したことがある。他の症状が苦しかったため、想像していたほどの痛みではなかったけれど、むしろこたえるの心理的なものだった。痛い思いをしても自分のコントロールの全く聞かないところで検査の結果が数値化され、それによって行動が制限され、再び検査を待たなければならない。生死に関わるものではないような病気でさえそうなのだから、小さな体で死を待たなければならない子どもたちの気持ちはいかばかりだろうか。
 これは小児白血病をテーマにした医療人類学のフィールドワーク記録。
 200ページほどの書籍の三分の一ほどが白血病でターミナルの子どもを主人公にした戯曲だった。戯曲の形式が読みにくくて残念だけれど、「シャーロットの贈り物」を読んでもらって死んでいく5才のジェフリー・アンドリュースの姿はやっぱりせつない。
 確かに田代先生の「がん病棟の子どもたち」で死が否認されている日本の子ども病棟とは違いを感じる。宗教が力を失って死が否認されていく過程にはどこか違和感を感じる。

http://children.camden.rutgers.edu/profile/bluebond.htm

死にゆく子どもの世界
死にゆく子どもの世界マイラ・ブルーボンド・ランガー 死と子供たち研究会

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