コミュニケーションの臨床心理学/若島孔文

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 Forum で白水さんから精神科医の故・井村恒郎先生が「心理療法」という用語の提唱者で、ロジャーズについてもふれているということを伺いましたが、この本では家族療法の先駆けとして牧原浩先生にインパクトを与えるという話が出ていました。井村先生、フロイトの訳者でもありますし、なかなか奥行きが深い方だったようですね。著作にもあたってみようかしら。


 精神分析というのは症状という記号が指し示す真相を探索していく過程と見なされます。すなわち、シニフィアンが指し示すシニフィエを探索し、解釈し、言葉に置きかえるわけです。
 上記のことをいうならラカンでなくてフロイトを引くべきだった。真相なんかない、シニフィアンが連鎖していくだけというのがラカン理論だから。


 プレローマとは、力と衝撃によってのみ支配される粗野な物理的領域であり、 (p.20)
 ベイトソンの「精神と自然」が出典としてあげてられているけど、「粗野」にひっかかる。Pleroma とはグノーシスの概念で「充溢」でむしろ肯定的な概念ではなかったか?
 Pleroma forces Bateson でググる

What is the difference between the physical world of pleroma, where forces and impacts provide sufficient basis of explanation, and the creatura, where nothing can be understood until differences and distinctions are invoked?
http://www.oikos.org/mind&nature.htm
 「力と衝撃が説明の十分な基礎を与えるプレローマの物理的な世界と差異と相違が生み出されて初めて理解されるクレアツーラの違いは何か?」というベイトソンのものらしき文章がヒット。
 まあようはラカンの「現実的なもの」と「象徴的なもの」のみたいなもの。ひょっとして crude 「生の」の誤訳?ユングと「精神と自然」をチェックしてみようか。
http://en.wikipedia.org/wiki/Gregory_Bateson

  • p.24 pseud-solution → pseudo-solution

コミュニケーションの臨床心理学―臨床心理言語学への招待
コミュニケーションの臨床心理学―臨床心理言語学への招待若島 孔文

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