心にナイフをしのばせて/奥野修司

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 1969年に起こった高校生による同級生の首切り殺人が、被害者家族に与えた破壊的な影響を描くノンフィクション。
 書影を見ただけでは小説なのかノンフィクションなのか判然としませんが、これは文章の内容にも現れていて、客観的な事実の記載というよりは小説的な印象を受けました。ここら辺を表して、被害者の立場だけに偏って描かれているという批判もネット上には見られましたが、僕はこれはこれでよいと思いました。これだけの取材を行っておいて、被害者に対する批判的な内容の本を書く方がどうかしていると思います。片方からの取材しかできていないのですから、見方が偏るのはやむを得ないでしょう。突然の家族の死が家族に与える影響の大きさを知らせてくれるドキュメンタリとして読むのがよいと思います。

心にナイフをしのばせて
心にナイフをしのばせて奥野 修司

文藝春秋 2006-08
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