日本心理臨床学会の心理臨床学モノグラフの第3巻。第1巻が大場登先生の『ユングの「ペルソナ」再考』ですから、ユング傾向高し。鑪理事長が序文を書いてますが、筆者の指導教員であるというのを読むと、選考過程の公正さは別にして、現在の心理臨床学会の垂直的ピラミッド体制の現れという気もしないでもない。
健常者と統合失調者、ヌミノース体験と幻覚妄想の事例を比較検討し、宗教のみならない心理臨床的接近を試みる。
目次
第1章 本研究の問題と目的(本研究の目的;無意識について ほか)
第2章 西洋人と日本人のヌミノース体験(記述調査と体験項目分類表からの分析;事例による検討 ほか)
第3章 統合失調症者と健常者のヌミノース体験(半構造化面接と体験項目分類表からの検討;描画(バウムテストと星と波テスト)による検討 ほか)
第4章 統合失調症者のヌミノース体験と幻覚妄想(半構造化面接と体験項目分類表からの検討;描画(バウムテストと星と波テスト)による検討 ほか)
第5章 総合的考察と今後の課題(総合的考察;今後の課題)
かつては僕も学会発表のタイトルなどに使ってしまったことがありましたが、自称以外の「〜者」って呼称はあんまり好きじゃありません。なんか辛口になってしまいましたが、丁寧に書かれているし労作だとは思います。でも結局、病気の人のヌミノース体験がいかにフツーの人と違うかということを言わざるを得ない構造が読んでいて苦しくなっちゃうのです。ヌミノース体験=聖なる体験なんて個人差が大きすぎるんだから、別にみんないろいろ違うでいいじゃないか・・・といってたら研究になりませんね。あー、やっぱり研究はワタシにゃ向かないよ(ちびまる子調)・・・
統合失調症者のヌミノース体験―臨床心理学的アプローチ (心理臨床学モノグラフ) | |
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