「ごんぎつね」をめぐる謎―子ども・文学・教科書/府川源一郎

なぜ日本人は「ごんぎつね」に惹かれるのか―小学校国語教科書の長寿作品を読み返す
なぜ日本人は「ごんぎつね」に惹かれるのか―小学校国語教科書の長寿作品を読み返す鶴田 清司

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 ぴゅん氏本です。こんな本もあるくらい、どの国語の教科書にも取り上げられている国民的童話の「ごんぎつね」。国民的どころか、外国語にも翻訳されているし、この本にもごんぎつねを使ったディベートの話が出ている。果たしてごんは最期に幸せだったのか、をディベート・・・ぞっとするけどね。
 ごんぎつね=新美南吉といった受験的知識はあっても、それ以上のことは結構知らない人も多いのでは。
 実は「ごんぎづね」は鈴木三重吉が主催していた雑誌「赤い鳥」に投稿された三重吉18歳の習作に三重吉がかなり手を入れたものということだ。もともとのタイトルは「権狐」。
 よーく読むと三重吉が手を入れたことによる不整合がわかるらしい。たとえば三重吉は「納屋」という言葉を「物置」に置き換えているのだけど、一カ所だけ「納屋」のまま残してしまっている。だから貧しい兵十の家に「納屋」と「物置」が両方あるという変な事態になってしまっているわけ。
 なかなか興味深い本だけど、18歳の習作がここまで広まってしまうってやっぱり日本人のこころの何かを捉えたんだろうね。というか「かぐや姫」、「鶴女房」、「浦島太郎」と異類との断絶で終わる話って日本にはもともと多いような気もする。
 ただごんぎつねは異類から人間へ切ない思いというところが特徴か。兵十×ごんの同人誌が出てても全然驚かないな。
「ごんぎつね」をめぐる謎―子ども・文学・教科書
「ごんぎつね」をめぐる謎―子ども・文学・教科書府川 源一郎

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