ガントリップの分析における悲劇


 しかし、その翌週、患者は調子を崩したが、ガントリップは臨時のセッションを行う時間が取れなかった。患者は妻と二人の子どもを殺し、自殺した。(中略) しかし、ウィニコットは次のような尋常でないコメントをして彼を元気づけた。「この事例ではほとんど完全な『治癒』に近いところまでいっていたと思います」 (p.118 False Self)



 カーンが分析していた患者で自殺したという報告はなく、入院したとかの報告さえないのは興味深い。これは恐らくカーンが否定的なものを扱うのが得意だったためだろう。
 一方、ウィニコットは開業で退行した患者を「病院送り」にし、多くの患者が自殺を既遂していることで有名である。



 1960年代の後半、ブルームはイェール大学のテオドール・リッツからカーンに紹介された。(p.129)
 家族療法では「結婚の分裂/歪み」の概念で有名なリッツ。ブルームとはシェイクスピア学で有名なハロルド・ブルーム。


False Self: The Life of Masud Khan
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