毒舌のナラティヴ 「心理学で何がわかるか/村上宣寛」

 あいかわらず村上先生の自分語りは面白い。心理学的なデータより面白くなってしまうのが欠点ですね。
 先生のブログに富山県臨床心理士会から先生のウェブサイトにクレームがついて、何かと思ったら「スクールカウンセラーの平均年収が100万円程度」と書いた部分で、実際は「135万円〜154万円」とのこと・・・。「スクールカウンセラーはバイト」というのは過度の一般化だろうけど、まあだいたいにおいては正しい。
 それにしても村上先生によればこの要請でメインの主張は、富山大学臨床心理士養成課程を設置してほしいというものだったということだけど、それと教員ブログへの抗議を一緒にやるってどういうことなんだろう。喧嘩売ってるのか、お願いしてるのかよくわかりません。
 「唯一、臨床心理士の資格が役立つのは大学教員になる時である」(p.227)っていうのも同様に過度の一般化ではあるけど正論。臨床心理士資格の効果を列挙する際に、最も大きいものは大学教員ポストの確保であるはずなのに、これをまったくあげない人が多い。まあかなりアンフェアなやり方で職能団体が大学のポストに圧力をかけたという罪悪感があるせいかもしれないが。こういうのを否認と呼ぶ。
 まあぼくも臨床心理士の養成にはタッチしてはいないけど、公募の際は臨床心理士資格を求められたのでそう人のことは言えない。そもそも臨床心理士資格ができた際も村瀬孝雄先生が資格の策定なんかに関わっていたわけだけど、自分がとることなんかほとんど考えもしなかった。
 資格取ったのは病院を辞めたあたりで試験を受けて取りました。村上先生ご指摘のメリットを生かすことが念頭にあったので、自分なりに日和ったと思いました。東大系の人々は結構臨床心理士取らないという気骨のあるひとが多かったので。


 だけど村上先生DSM好きなのか。何かつまんないけど、世界水準の研究目指すって言うとメジャーな準拠枠にあわせるってことになっちゃうんだね。

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