クラインのアプローチをプレイセラピーと思っている人がよくいるけど、あれはセラピストは一緒に遊んだりしないので日本で使われる意味ではプレイセラピーではないのです。成人の精神分析がアナリザンドの言葉を解釈していくように、子どもの遊びを解釈していくわけです。精神分析という療法の持つ退行的な性質を考えると、子どもに退行するな(年相応にふるまうな?)というのは何だか変な感じですけど、これはヨーロッパの伝統的な「子ども=小さな大人」という「子どもの発見」以前への先祖返りなのですね。
セラピストは子どもに関心を向け、そこで起こることを考えることのできる大人としての立場、すなわち精神分析的態度を維持することが求められ、ジャージを着たり、子どもの退行を促すような働きかけは厳に戒められる。 子どもの精神分析的心理療法の経験/平井正三 p.40