精神分析と学生相談 「思春期・青年期への精神分析的アプローチ――出会いと心理臨床/乾吉佑」

 そういえば乾先生も学生相談に関わられていたのでしたね。心臨の発表で学生相談の事例の座長までやって頂いていたのに不勉強ですみません。


 五月病とかちょっと今の学生相談からしたら古い記述があるなあ、と思いましたが発表年代を見たら20〜30年前の初出だったのでしょうがないですね。学生のニーズは何か、というところから入るのじゃなくて、正統な精神分析とはどこがずれているか、からはじめなきゃいけないところが、やっぱり分析は窮屈ですね。


すなわち、かれらは、かつての五月危機による不安や失敗感などを自覚し、自分の問題として引き受けるよりも、むしろサークル活動に出入りする、自治会の役員になる、同性・異性の友達をつくることで、自分の五月危機に対する不安な気持ちや失敗感、あるいは混乱した感情などを埋め合わせ、置き換えたりしているのである。表面上では、彼らは大学生活に適応しているようにみえているのである。(p.104)
 ここらへんも過剰な個人の内界重視という感じがしますね。


 小此木先生の自由連想を開始したときの反応の研究、「一次操作反応」だった。この本を読んで思い出しました。


思春期・青年期への精神分析的アプローチ――出会いと心理臨床
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