分析
心理教育絵本「ゆらゆら君とまっすぐ君」の解説本。おまけくらいのものかと思ったら、いきなりマーガレット・リトルが引用されててびっくりした。著者はイギリスの分析系のセラピストで、リトルの他にもクライン、アルバレス、ボールビー、ウィニコット、カ…
フロイトの親族の画家というと先日亡くなったフロイトの孫、ルシアン・フロイトが有名ですが、トム・シードマン・フロイト(本名 マルタ・フロイト)は、ユーゲントシュティール調のイラストレーションを作品として残しています。トムの母親はフロイトの妹マリ…
日本語で姓が三文字で表記され、最初が「ラ」で始まる精神分析家はまあ「ラカン」を覗くとして、結構混同されています。ライヒもランクもライクも結局はアメリカに移住したというあたりの共通点があってまぎらわしくはあります。性の革命を訴え「オルゴン・…
フロイトから対象関係論、自己心理学、ナラティブ系までそつなくまとまった精神分析入門。 p.23 イーグル Eagle(1984) は、精神分析が変化し、進化しうると言うのは、「いわば、フィールディング以来小説が発展したといった意味である」と、解釈学的立場では…
ウィニコットなど精神分析をベースにしながらも、ミルトン・エリクソン、家族療法、十牛図など幅広い視点から初回面接を考える。「自分の受容能力(キャパシティ)を越えて人と会うことはできません。一時間(45分から50分)に一人の人としか会えないのです。」(…
わが国の精神病理学が多大な影響を与えたサリヴァン。しかし中井久夫氏らによる訳業がなければこの影響も考えられない。本特集では、中井氏らによって紹介されてきた日本におけるサリヴァン像を見直し検討する。新進気鋭の若手精神科医らによるサリヴァンの…
精神分析の本質は飽くなきこころの真実の追求というのは、松木先生も書いているところ。もうひとつ付け加えたいのはフロイトの頃から面々と継続されている他の精神療法との差別化へのこだわりですね。これほどクライアントにとってはどうでもいいことにこだ…
心気的な女性がクライン派の分析家に精神分析を受けていて、実際に筋萎縮性側索硬化症と診断される。この分析家のスーパーヴァイザーがメルツァー。分析家は精神分析の文脈を維持しようとし、アナライザンドはこれに怒り分析の終了をちらつかせる。それをあ…
フロイトなんていうのは日本文学における夏目漱石のようなもので、あらゆる視点から論文が書かれているので、もう新鮮な切り口なんかないんじゃないかと思うのですが、それでも「フロイトのイタリア」とか本書のように探せばあるものですね。 ロシアにかかわ…
フロイト派から見たアドラー―番外編 その2 - 「勇気の伝道師」 ヒューマン・ギルド 岩井俊憲の公式ブログ に下記のような記述がありました。國分先生の本からの引用です。 <その1> フロイトは、ユングと一緒にお酒を飲もうとしたのですが、ユングが飲ま…
上は購入してしまったのでまだ読んでいないので読む順番が逆になってしまいました。でもフェレンツィから対象関係論への流れだから、きっとこっちの方がおもしろいですね。講義の書籍化、しかも分析界の裏話もふんだんに書かれているので楽しく読めます。 し…
共視論、見るなの禁止、フロイトの生地巡礼などなど。そういえば録画したTVもまだ見てないな・・・。 「セラピストは楽屋を見せないことも大事」とはいっているけど、北山先生も結構エッセイやなにやらいろいろ書いてるんじゃないかな。症例の話は講義ではし…
メラニー・クラインがイギリスに渡ったときの気持ちってどんなものだっただろう。大学も出ていない彼女にとって「子ども分析」というのは自分を認めてもらう非常な大きなチャンスだった。しかし、そこには非常に都合の悪いライヴァルがいた。よりによってあ…
佐々木中氏の『野戦と永遠』でその名を知った法学者・人類学者・精神分析家のピエール・ルジャンドルへのインタビュー。ラカンはともかくボルヘスとも知り合いだったみたいですね。ふところが広すぎで対談ぐらいでは全然、全貌が見えない感じです。ルジャン…
オィディプスは別に母親を巡って父親とライヴァル関係にあったわけではなかった。むしろ実質的な親といってもいい育ての親を傷つけることを心配して、自ら放浪の旅に出ている。これを三角関係と読み替えたフロイトの物語は、彼の個人史上の問題が濃厚に反映…
『自我心理学の新展開』で小此木加江先生が著者について書いてましたね。 フェミニズムの視点からの精神分析理論の読み直し。『Oの物語』論など。 翻訳は読みにくくはないですが "Self Psychology" を「自我心理学」と訳してしまうという痛い失敗。精神分析…
精神分析の歴史って三國志みたいで好きなんだよね。神話的な英雄が交錯するエピソードみたいなのがね。娘を分析して跡継ぎにするとか、娘を分析して憎まれて葬儀にも来てもらえないとか、母娘を分析して両方に惚れるとか、甥を分析して殺されちゃうとか、神…
タビストッククリニックでの子どもの精神療法関連本です。 乳幼児観察の話なんかもはいってますから、『教育における精神分析の考え』っていう原題のほうがしっくりきますが、まあ続編なのでしょうがないですね。学校現場に生かす精神分析 実践編―学ぶことの…
イギリスの分析家による自己心理学とイギリス対象関係理論との接点。 p.5 ego nuclei 自我核 これは複数形であることをいかした訳がいいと思う。「自我核群」とか。 現代精神分析における自己心理学―コフートの治療的遺産フィル モロン Phil Mollon 北大路書…
精神分析関連論文をDVD詰め合わせした PEP。この秋にフロイト全集もはいった新しいバージョンが出るようです。 ただし新規購入者は$2,720 事前購入割引で $2,000。 ぼくは ver3 持ってるので割り引きで、$600。ちょっと考えますね。 Psychoanalytic Electron…
そういえば乾先生も学生相談に関わられていたのでしたね。心臨の発表で学生相談の事例の座長までやって頂いていたのに不勉強ですみません。 五月病とかちょっと今の学生相談からしたら古い記述があるなあ、と思いましたが発表年代を見たら20〜30年前の初出だ…
精神分析の世界では青年期研究、エリクソンとの交流で有名なピーター・ブロスによる自作の詩の朗読。 International Psychoanalysis » Blog Archive » Imago Mundi: The Poetry of Peter Blos 息子と父親―エディプス・コンプレックス論をこえて 青年期臨床の…
旧版と副題とタイトルをいれかえてソフトカバーになっての新装版。訳者の神田橋先生の追記が半ページほど追加されています。ウィニコットとの精神分析の記録 新装版―精神病水準の不安と庇護神田橋 條治 岩崎学術出版社 2009-06売り上げランキング : 93112Ama…
精神分析家ザビーナ・シュピールラインというとユングの患者かつ愛人の女性で、『秘密のシンメトリー』という本で有名。精神分析の内幕ものは結構読んでいるのだけれど、この『秘密のシンメトリー』は何となく読む気がしなくて未読でした。でも結果的にはそ…
イギリスの本なので例によって「マンガ」というよりは「イラスト」です。 結構マイナーな分析家のこともとりあげていて、かつ文字情報が少ないので入門と言うには高度かもしれません。 訳はシャーロキアンで有名な小林司氏ですが、やや細部に配慮が足りない…
「ぬいぐるみの心理学」の改訂新版です。絵本や事例、実証的実験などさまざまな角度から移行対象について考察しています。やさしいウィニコット入門にもなっています。 p.95 ナショナルトラストの自然保護活動を例にイギリスのことを「心の自然保護」が達成…
かつて北山先生が精神分析学会等で発表した事例のその後。 ただ、どうせフィードバックもらうなら自らの理論、実践の正しさの証明という文脈より、精神分析実践がクライアントの目にどううつっていたかというところにもっと力点を置いてもよかったのではと思…
amazon のコメントでも訳への不満を書いている方がいましたね。残念ながら下訳レベルです。 分担翻訳で監訳をするというのはたいへんなチーム・アプローチです。訳語の統一、相互的な誤訳の洗い出し、参加するメンバーの士気のコントロールなどなど、集団療…
前も取り上げたのですが訳者の和田先生に焦点をあててしまったのでもう一度取り上げます。 ストロロウはコフート派のサイコロジストですが、前妻を癌で亡くした(朝起きたらベッドの隣でなくなっていた)という体験を通じて哲学的な省察を深めています。正直ハ…
1987年に出された本。20年前に出された本に「最前線」とタイトルつけるのはどうかな。営業的な配慮なんでしょうけど。 何かビオン関係のミスが多いですね。 p.68 ビオンは「」の中で → ビオンは「注意と解釈」の中で p.123 訳注9) valency: Bionの用語 謎の…